北条館跡 第1次(室内整理)
いわて調査情報/2021年7月8日現在
DATA
※この遺跡の調査は終了いたしました。
遺跡名 | 北条館跡(ほうじょうだてあと) |
所在地 | 岩手県紫波町大字北日詰字城内105番地ほか |
事務所 | |
調査期間 | |
時代 | 平安時代、中世、近世~近代 |
検出遺構 | 平安時代 竪穴建物、溝、土坑 戦国時代 堀、土塁、竪穴建物、掘立柱建物 近世~近代 井戸、墓 |
出土遺物 | 平安時代 土師器、須恵器、かわらけ、陶磁器 中世 陶磁器、鉄製品 近世~近代 陶磁器、鉄製品、銭貨 |
所報「わらびて」の最新号(144号)で北条館跡の特集を掲載しました(「トピックス」からダウンロードできます!)。
「わらびて」では戦国時代の成果しかご紹介していませんが、北条館跡ではそれ以外の時代でも様々な成果があげられたことから、数回にわたりご紹介したいと思います。
戦国時代の次に遺構・遺物の量が多いのは平安時代で、今回は竪穴住居をご紹介します。平安時代の竪穴住居は4軒あり、黒い四角のプランとして見つかりました(写真1)。
掘り上げていくと、西側の壁にカマドや煙道が取り付けられていることがわかりました
(写真2)。
写真3
写真の住居は遺跡内で最大のもので7.5×7mの方形で、床面を調査すると柱の穴や壁に沿って巡る溝が見つかりました(写真3)。
カマドや貯蔵穴からたくさんの土器が出土しており(写真4)、土器の年代から9世紀前半に造られた住居と考えられます。
(令和3年7月6日現在)
今月も金属製品の実測を行っています。北条館では戦国時代以外の金属製品も多く出土しており、今回は蓬莱鏡(ほうらいきょう)という江戸時代の銅鏡をご紹介します。
掘立柱建物の柱穴から出土した蓬莱鏡は直径約8㎝の完形品で、鏡の背面にはおめでたい文様とされる鶴や松、州浜(すはま)が描かれていました。外観写真では錆に覆われてわかりづらいですが、X線写真でみると図柄が鮮明になり、さらに紐を通すための紐座(ちゅうざ)が亀になっていることもわかりました。
(令和3年5月21日現在)
北条館跡は、平成30年度から令和2年度まで発掘調査を実施した戦国時代の城館です。発掘調査では堀や土塁、竪穴建物・掘立柱建物など多数の遺構が見つかりました。
また、遺物も様々なものが出土しており、今年度は報告書作成のために室内整理作業を行っており、現在は金属製品の実測中です。
写真3は柱穴から出土した戦国時代の小札(こざね、鎧の一部)で、錆で覆われていますが、X線写真撮影を行ったところ紐を通すための穴が開いていることがわかりました。
(令和3年4月23日現在)
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