平成27年度調査
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- 高田城跡(陸前高田市)
クク井遺跡
東日本大震災関連発掘調査
いわて調査情報/2015年7月14日現在
DATA
※この遺跡の調査は終了いたしました。
遺跡名 | クク井(くくい)遺跡 |
所在地 | 岩手県下閉伊郡山田町船越第10地割ほか |
事務所 | 080-2832-8447 |
調査期間 | 平成27年4月6日~8月31日(予定) |
時代 | 縄文時代、古代 |
検出遺構 | 平安時代:竪穴住居跡、工房跡、土坑 |
出土遺物 | 縄文時代:土器、石器 古 代 :土師器、須恵器 近 世 :陶磁器、鉄製品 |
写真は遺跡内の南向き斜面を撮影したものです。これまで紹介してきた平安時代の工房跡や縄文時代の大型住居跡は、多くがこの斜面に立地し、またさらに上の奥側にも続いていました。こうして並んでいるのを見るとなかなか壮観です。
クク井遺跡の調査は7月15日をもって終了します。出土した土器や石器などの遺物は今後整理を進め、その内容を明らかにしていきます。どこかでその成果をお見せできればと思います。
(平成27年7月13日現在)
6月15日に紹介しました縄文時代前期の大型住居跡です。
残念ながら、手前側は崩れてしまっていましたが、それでも全長12mの大きな姿を見ることができます。床がボコボコしているのは200個以上の柱穴があるためで、住居を何度か拡張(リフォーム)し、そのたびに柱の位置を変えたことが想像されます。
床面の中央が赤く変色しており、ここで火を使ったことが分かります。
一体、何人ぐらいの縄文人がこの住居で暮らしていたのでしょうか。
(平成27年7月6日現在)
先週、遺跡を上空から写真撮影してもらいました。
写真中央の杉林や緑に囲まれた範囲が、今回発掘調査した場所です。
写真左上から右下へとゆるやかに下がっていく地形です。
何となく見える四角い形がこれまで紹介してきました平安時代の竪穴住居跡や工房跡、縄文時代の大型住居跡です。
(平成27年6月29日現在)
20日の現地説明会には多くの方に来ていただき、ありがとうございました。当日は先週まで紹介してきました遺構の数々のほか、出土した遺物も展示し、ご覧いただきました。
写真は展示した遺物の一部です。上写真は平安時代の竪穴住居跡から出土した土師器と須恵器です。中写真は大型住居やその周辺から出土した縄文土器(前期と中期)です。下写真は縄文時代前期にみられるアクセサリーのひとつで、石製の玦状耳飾りです。縄文土器と同じく、主に大型住居とその周辺から見つかりました。
(平成27年6月23日現在)
先週まで紹介した平安時代の竪穴住居跡や工房跡とは別に、縄文時代前期の竪穴住居跡(家のあと)が見つかっています。竪穴住居跡は長方形で、全長12m近く、「大型住居」とも呼ばれます。写真はその作業風景です。たくさんの人が中で作業していますが、まだ余りあるほどです。住居は何度か建て替えが行われているため、柱穴などがたくさんあり、現在、その調査に追われています。
6月20日の現地説明会には間に合わせ、皆さんにご覧いただきたいと考えています。
(平成27年6月15日現在)
4月10日に紹介しましたが、昨年度の試掘調査で赤く焼けた跡が見つかっています。
そしてその範囲の調査が進み、予想通り古代の炉であることが分かりました。
炉は約60㎝の楕円形で、わずかに窪んでいます。
中央は激しい焼成のため灰色に変色し、また鉄生産の際に排出される「鉄滓」が残っています。
これらのことから、この炉は鉄を加工する鍛冶炉と考えています。
(平成27年6月8日現在)
写真上は平安時代の家のあと(竪穴住居跡)です。
家のあとは別の大きな穴に一部が壊され、また斜面地に立地するため、壁がほとんど残っていませんが、火を焚くカマドやカマドからのけむりを外へ出す煙突代わりの穴(煙出し)がきれいに残っていました。
カマドの内部には土製の支脚が2個並んでおり(写真下)、火を焚いた際、ナベ代わりの土器(土師器)を支えたものと考えます。
(平成27年5月29日現在)
先週紹介した「工房」跡とは別の工房から鉄製品が出土しています(写真上)。
鉄製品は長さが約18cmで、錆が激しいですが、形から斧(袋状鉄斧)ではないかと考えています(写真下)。
工房跡からはほかにも鉄製品がいくつか見つかっており、工房で鉄に関わる生産がおこなわれていた可能性がでてきました。
(平成27年5月25日現在)
長さ10m、幅3mほどの細長い遺構を調査しています(写真上)。「コ」字状に溝が巡り、また小さい柱穴がいくつか見つかりました。
用途はよくわかりませんが、床面や壁際には激しく焼けた痕(写真下)が3箇所見つかっており、何かを作る「工房」跡と考えています。このような遺構がクク井遺跡ではいくつも見つかり始めています。
(平成27年5月18日現在)
調査区の斜面から低い場所でも作業が続いています。
黒い土を掘り下げ、土器や石器(遺物)、また昔の人が暮らした跡(遺構)を探しています。
低い場所からは縄文時代の土器や石器が主に見つかっており、なかには槍先のような石器や石で作った耳飾り(写真下)も出土しています。
(平成27年5月11日現在)
調査が始まって約1ヶ月が過ぎました。
先週まで紹介した遺構や遺物の他に、動物の骨(写真)も見つかっています。下あごの骨ですが、1本、鋭利な犬歯が見受けられます。形からみて、小型の動物の骨と考えていますが、具体的にはまだ分かりません。
この遺跡で集落を営んでいた昔の人が捕らえてきた獲物だったのでしょうか。
(平成27年5月1日現在)
調査している場所は、高い場所も低い場所もあるので、作業員さんみんなで広がりながら遺構や遺物を探しています。
急な斜面にも遺構があるのが分かります(白い線で示した範囲)。
みつかった黒い四角いシミ(遺構)を少し試し掘りしたところ(写真下)、赤く燃えた痕が見つかりました。古代の竪穴住居のカマドの一部ではないかと推測しています。次第に遺跡の正体が分かってきました。
(平成27年4月27日現在)
今週も表土を剥ぎながら、遺構や遺物を探しています。
まだ遺跡の性格はよく分かりませんが、写真のような「羽口」と呼んでいる鉄生産に関わる道具が2点、並んで見つかりました。
先週紹介した「炉」と合わせて考えると、クク井遺跡は鉄生産に関わる遺跡である可能性が高いようです。
(平成27年4月20日現在)
遺跡は船越半島の付け根、船越湾寄りのやや高い場所に位置しています。
今週はまだ寒かったですが、遺跡の上の表土を剥ぐ作業(写真上)を行いました。その際、昨年度の試掘調査のトレンチも見つかっており、地面が赤く焼けた痕が顔をのぞかせています(写真下)。時代や用途はまだ分かりませんが、「炉」ではないかと想像しています。
(平成27年4月10日現在)
※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。