被災考古資料修理(整理業務)
いわて調査情報/2024年9月25日現在
DATA
遺跡名 | 被災考古資料修理(ひさいこうこしりょうしゅうり) |
所在地 | 陸前高田市 |
事務所 | 埋蔵文化財センター |
調査期間 | |
時代 | |
検出遺構 | |
出土遺物 |
陸前高田市雲南遺跡の整理を行っています。
整理の手がかりは、調査年度や出土地点が記された注記です。雲南遺跡は、2001年度~2004年度の4カ年にわたって調査が行われました。遺跡略号は、UN01・UN02・UN03・UN04です。
土器が収納された袋を実際に開けて確認すると、SN03(袖野遺跡の2003年度調査)などと注記された、異なる調査年度や遺跡の出土遺物を確認することが度々あります。異なる遺跡の遺物は、被災時やその後の水洗時に混在した可能性があります。膨大な量の土器ですが、1点ずつ確認し、粘り強く仕分けしています。
(令和6年9月25日現在)
雲南遺跡の整理を行っています。
雲南遺跡は、陸前高田市教育委員会によって、2001~2004年の4カ年に5回の調査が行われました。そのうち、第3次~第5次(2002~2004年)の調査成果が、陸前高田市文化財調査報告書第26集にまとめられています。
なかでも、第3次調査(2002年)では多数の遺構・遺物が確認されました。報告書には、縄文時代前期を主体とする土器群、石器類、玦状耳飾りや石棒などの石製品、土製品、弥生土器、骨角器、魚骨・獣骨など数多くの遺物が掲載されています。
現在確認できる遺物は、コンテナ200箱以上です。1点でも多く確認するため、整理は続きます。
(令和6年8月9日現在)
写真1 確認した土器破片
1994年に調査が行われた牧田貝塚の発掘調査報告書(県埋文 第240集)には、縄文時代の土器626点のほか、土製品、石器、石製品、平安時代の土器など多数の遺物が掲載されています。
整理したところ、石器は296点(表掲載含)中45点(約15%)を確認しました。その多くは、重量のある石斧、凹石などの礫石器です。
一方で、剥片石器は、ほとんど確認できませんでした。整理後にチャック付ポリ袋に収納された小さくて軽量な遺物は、水中に漂流しやすく、津波によって海に流出してしまったのでしょうか。
このような状況のなかでも、1点でも多く確認するため、整理は続きます。
(令和6年7月8日現在)
被災した陸前高田市の考古資料の修理作業を行っています。
県埋文で調査した牧田貝塚や、陸前高田市教育委員会で調査した雲南遺跡など多数の遺跡の出土遺物が対象となり、その数量は数千箱に及びます。
遺跡略号を手がかりに遺跡名や調査年次を特定し、報告書掲載遺物を抽出して修復する作業を行っています。
牧田貝塚は、1975年、1989年、1994年と3回の調査履歴に伴う出土遺物が確認できました。
『陸前高田市史』なども参考とし、陸前高田市の遺跡調査の歴史を辿りながら、整理を進めています。
(令和6年6月25日現在)
※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。