イベントレポート
平成30年度埋蔵文化財公開講座・遺跡報告会レポート
1 平成31年1月26日(土)、盛岡市県民情報センターアイーナにおいて、埋蔵文化財公開講座・遺跡報告会を開催しました。
午前中の公開講座は、東北学院大学准教授の竹井英文先生に「魅力あふれる東北の中近世城館」というテーマでご講演いただきました。先生はご専門の文献史学と豊富な実地踏査に考古学の成果を取り入れて城館の実態に迫る研究をされています。
2 城館の研究史や研究のアプローチの方法など、詳しくお話しいただきました。東北にはどのような城が多いのか、城の構造は何を物語るのかなど興味が尽きません。先生が実際に踏査された城館もたくさんご紹介いただき、城歩きの面白さが伝わってきました。
3 ご来場の皆さんからも
「岩手県の城館もたくさんあることを知り、地域で見かける城館に興味をもって調べてみようと思った」
「城館を訪れたことはあったが、文献や縄張りなど様々な知識と視点が必要だとわかった。東北での重要性を感じた」などの感想が寄せられました。
4 午後は埋蔵文化財センターが今年度調査した遺跡の中から6遺跡の報告を行いました。縄文時代の洋野町 宿戸遺跡、板橋Ⅱ遺跡、古代~中世の紫波町南日詰大銀Ⅱ遺跡と隣接する北条館跡・北日詰城内Ⅰ遺跡、花巻市の万丁目遺跡です。
5 今年度は沿岸北部の縄文時代の遺跡のほか、内陸部の古代末~中世の遺跡で多くの成果がありました。紫波町の3遺跡や花巻市の万丁目遺跡では、12世紀における平泉の藤原氏の一族である比爪氏に関連する遺構や遺物が見つかっています。
6 埋蔵文化財センターでは、復興関連事業の発掘調査に際してこれまで全国から大勢の応援職員を派遣していただきました。復興調査が収束に向かっている今年度は福島県に職員を派遣しています。派遣した職員が従事した福島県双葉郡富岡町の毛萱館跡の調査についても報告しました。
7 会場では、埋蔵文化財センターが行った普及事業などの写真パネルや遺物展示を行い職員が解説しました。
8 報告遺跡から出土した遺物を展示しました。
写真には、平泉藤原氏の第二の拠点で比爪館に近い紫波町の南日詰大銀Ⅱ遺跡で出土したかわらけと平泉出土のかわらけが写っています。左の6つが比爪で多い赤いかわらけ、右の1つが平泉の白っぽいかわらけです。
調査で出てきたかわらけが赤いか白いか、私たちは気をつけて見ています。ちなみに花巻市万丁目遺跡で見つかったのも赤いかわらけでした。
9 こちらは沿岸北部の洋野町宿戸遺跡出土の磨製石斧です。ケースの中に地元の石材で作られた石斧とアオトラ石で作られた石斧があります。アオトラ石は北海道で産出する石材で、縄文時代に東北地方でも流通していたことが知られています。
ケースの中、右上に担当調査員が北海道でいただいてきたアオトラ石の標本があります。比べると・・・どれがアオトラ石の石斧かわかりますか?
10 今年も県内外から300名を超える方にお越しいただきました。足元の悪い中、ありがとうございました。
来年度は2月1日(土)に岩手県民会館で開催する予定です。ぜひお越しください。
公開講座資料はこちらから。
遺跡報告会パンフレットはこちらから。
2019年2月28日掲載
※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。