イベントレポート
板橋Ⅱ(いたばし2)遺跡 現地説明会レポート
平成30年10月13日(土)、下村遺跡の現地説明会が開かれました。下村遺跡は洋野町種市第21地割字板橋にあり、海岸からは約500m、標高は60mほどのところにあります。
発掘調査は三陸沿岸道路建設事業に伴い8,000㎡余りの調査が行われたものです。
写真1の事務所の南側(上の写真2)には、荒津内遺跡が隣接し、道路を挟んで北側に板橋Ⅱ遺跡があります。
事務所から見た北側(上の写真3)に遺跡があり、写真4が遺跡をズームアップした写真です。この遺跡は、オーシャンビュースタジアムの東側に立地しています。
快晴無風の絶好の気象条件に恵まれ多くの方々がおいでになり、13時から現地説明会が行われました。
所長のあいさつに続き、担当調査員から調査全体の概要説明が行われたあと、仮設道路を横切って遺跡に移動しました。
遺構を回りながら、調査担当者がそれぞれ分担し、縄文後期の竪穴住居跡群、フラスコ状土坑、溝状落とし穴等の検出遺構についての説明を行いました。
今回の調査の結果、縄文時代後期初頭(4,000年前)の竪穴住居と貯蔵穴で構成される集落が見つかり、また、年代は不明ですが、沢跡の周辺に落とし穴状遺構が多数見つかりました。
上の写真7の落とし穴状遺構は、穴の部分が黒い土で埋もれていて、細長い溝状の形が鮮明にわかります。シカやイノシシなどが通る獣道に配置し、落ちた獲物を捕らえたものです。
写真8の貯蔵穴は、調査員が入ると腰のあたりまでの深さがあることがわかります。口は狭くて底が広い、三角フラスコのような形が特徴のこのような穴については、他の遺跡で炭化したトチやクリの実などが出土した事例があり、木の実(堅果類)を貯蔵する穴だと考えられています。
竪穴住居跡は、円形に掘りこまれた中央に炉の石と焼土が確認され、食べ物の調理を行ったと同時に、暖房、照明の役割も兼ねた場所だと考えられます。
遺跡全体で、竪穴住居跡12棟、落とし穴状遺構32基、土坑18基、土器や石器が見つかりました。
写真11は、竪穴住居跡の炉のそばに調査員が横たわって見せ、大きさをビジュアル的に説明しました。写真12は、地元の方からコハクが地元でも産出しているお話があった場面です。
事務所の1階に出土した遺物が展示されました。漁に使うおもりや木の実を加工する道具も出土し、山海の幸を入手しやすいこの地が生活の拠点となっていたものと考えられます。
出土遺物は、現地説明会資料にある土器や石器のほか、竪穴住居跡から説明会の前日に見つかった6個の水晶やコハクも出土しました。
今回の現地説明会は、70名もの方々が参加していただき、時に調査員の軽妙なトークに参加者が引き込まれ、笑いや拍手が起こる場面等も見られました。
大変充実した内容になりました。参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。
当日の資料はこちらから。
2018年10月16日掲載
※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。