イベントレポート
芦ケ沢Ⅰ・Ⅱ遺跡 現地説明会レポート
平成28年7月23日(土)13:30~、久慈市の芦ケ沢Ⅰ・Ⅱ遺跡で現地説明会が行われました。同日は岩手日報社主催の遺跡見学バスツアーも催行され、110名の方にご来場いただきました。ありがとうございました。
芦ケ沢Ⅰ・Ⅱ遺跡は、三陸鉄道北リアス線陸中宇部駅の北西約3.0km、国道45号沿いの丘陵地緩斜面に立地しています。今回の調査は、三陸沿岸道路建設事業に伴う復興関連緊急発掘調査です。
調査は4月6日に開始しました。これまで主に芦ケ沢Ⅰ遺跡の範囲で調査を進めてきた結果、縄文時代の竪穴住居跡および多数の陥し穴が見つかりました。約12m×7mの大型住居跡は、久慈地域では初の発見例です。縄文時代前期前半(約5,500~6,000年前)には集落、それ以降は狩猟場として利用された土地であることが分かりました。
今後の調査は、芦ケ沢Ⅱ遺跡の範囲に移り、引き続き9月末まで行われる予定です。さらなる発見に期待したいところです。
午前中の上代川遺跡の現地説明会に引き続き、多くの方々が集まりました。やや雲が多くなってきましたが、お天気はどうやら大丈夫そうです。
遺跡の地層についての説明です。地層は下に行くほど古く、上の方が新しい、これが発掘調査の基本です。遺跡内では約5,400年前に振った火山灰が見つかっており、その堆積状況から、集落はそれより前の時代に営まれ、後に狩猟場へ変化したと考えられます。
大きさが約12×7mもある大型住居です。柱の跡や、火を炊いた炉の跡が並び、壁際には水の流入を防ぐ排水溝が掘られています。他の住居と比較すると大きさの違いは歴然で、集会所または作業場など、特殊な用途で使用された可能性もあります。
縄文時代の陥し穴は、長さ約2m×深さ1mあまりの細長い形状で、全部で71基も見つかりました。写真はそのうちの一つです。発掘現場には穴がいっぱいです。見学の際にはくれぐれも注意しましょう。
眺める角度によっては陥し穴が規則的に列をなして並んでいるように見えます。獣が通る道筋を研究した成果と思われます。はたしてうまく食料を捕獲することはできたのでしょうか。家族を養うのはいつの時代も大変です。
縄文時代前期前半の土器です。「~」のような文様が器面に幾重も連なっているのが特徴です。黒く焦げているのは煮炊きに使った痕跡でしょう。土器の他に石器類(石鏃・石槍・石匙ほか)も見つかっています。
昔の人の暮らしに少しでも興味を持ってくれたかな。調査は9月頃まで続くので、またお目にかかる機会はあるかもしれません。分からないことがあったらどんどん質問しに来てね。遺跡で待ってるよ~(^.^)/~~~
当日資料は、こちらから。
2016年8月1日掲載
※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。