イベントレポート
クク井遺跡 現地説明会レポート
平成27年6月20日(土)・午前11時より、山田町にあるクク井遺跡(くくいいせき)で現地説明会を開催しました!今年初の現地説明会は、少しやませの影響があり風が涼しかったですが、天候も良く約80名もの参加者を迎えて上々のスタートとなりました。ご参加の皆様ありがとうございました!
クク井遺跡は船越半島の付け根にあり、防災集団移転促進事業に伴い発掘を行っている復興関連調査遺跡です。縄文時代前期~中期の集落跡と、平安時代の鍛冶工房跡が見つかっており、縄文時代には生活の場・平安時代には仕事場だったようです。
特に平安時代の鍛冶工房は大規模で、ここが鉄製品の生産加工場であったと思われる工房跡や炉跡がいっぱい出土しています。遺跡は南向きの傾斜地にあり、このような場所にも人の営みがあったのだと感心させられます。
新聞を見て地元から参加された方は、
「平安の鍛冶炉の隣に縄文の住居が並んで出ているのが見られて面白かった。時代の流れを伝えている感じがする。地元にも出土した文化財を活用・展示できる施設が欲しい。」と興味津々で遺跡を眺めていました。
今年も始まりました現地説明会!
開会のセレモニーの後現場へ向かいますが、結構な坂道です。足元お気をつけて!
斜面を登って、現場でさっそく説明会スタートです。ここは平安時代の竪穴住居跡です。中央にカマドと見られる石組みが見えます。最後には取り上げるので、説明会は出土した状況を生で見られるチャンスなのです!
右上写真のカマドを拡大した写真です。土器を置いたと思われる支脚が見えます。煮炊きに使ったのでしょうか。
しかし生活の痕跡はあまりなく、休憩所のような使用方法だったと推測されます。
続いて斜面の下側にある鍛冶工房と思われる建物跡です。写真が小さいので見づらいですが、カマド跡の穴の奥が上に抜けています。
これは煙道(えんどう)という煙突のようなものですが、再使用できないように石がいっぱい詰め込まれていたそうです。何か意味がありそうです。
これは縄文時代中期(約5,000年前)の大型住居跡です。長さ12m、幅4.5mにもなります。これだけ大きい住居跡ということは、複数の家族が住んでいた可能性があるようです。それとも今でいうシェアハウスだったとか?
そして、両脇に溝が何本か通っているのが分かりますか?住居の壁を広げた跡だそうです。やはりどんどん家族が増えていったのでしょうか。
絵的には少し地味かもしれませんが、これも大切な資料です。ここが鍛冶工房であった証拠の鍛造剥片(たんぞうはくへん)と鉄滓(てっさい)です。剥片は鉄を打つ時に出る欠片で、鉄滓は製鉄するときに出る鉄のカスです。
○クク井遺跡の現地説明会資料はこちらからダウンロードできます(PDF)
2015年6月25日掲載
※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。