イベントレポート
上代川遺跡 現地説明会レポート
平成28年7月23日(土)11:00~、野田村の上代川遺跡で現地説明会が行われました。同日は岩手日報社主催の遺跡見学バスツアーも催行され、127名の方にご来場いただきました。ありがとうございました。
上代川遺跡は、三陸鉄道北リアス線野田玉川駅の西約500mに位置します。調査区は国道45号の西側にある丘陵地の南向き緩斜面から低地にかけての範囲です。今回の調査は、三陸沿岸道路の建設に伴う復興関連緊急発掘調査です。
4月6日から調査を開始し、これまでに、弥生時代(約2,000年前)の竪穴住居跡を始めとする遺構・遺物および、古代~中世の大規模な鉄生産関連遺構・遺物が確認されました。
野田村内では復興関連の発掘調査が近年相次いで行われていますが、県北沿岸地区での製鉄遺跡の調査は当センターでは初めての例でもあり、野田村の歴史の解明にとって大きな前進となりました。調査は引き続き9月末まで行われる予定です。
さわやかな青空です。埋蔵文化財センター所長による挨拶、担当調査員の紹介の後、いよいよ遺跡の説明が始まります。調査員の背後に見える斜面が調査区です。
斜面上位では、木炭を焼くための炭窯が多数確認されました。木炭は製鉄に使うための燃料です。炭窯はいずれも等高線に沿った長楕円形で、長軸方向の長さが6~8mもあります。底面は真っ赤に焼け、中には炭がびっしりと埋まっていました。
炭窯より下の斜面中腹では、製鉄を行った炉跡が見つかりました。崩れ落ちた炉壁や鉄滓類が生々しく転がっています。 すぐそばでは、木炭や原料となる砂鉄置き場も見つかりました。
斜面下方には、製鉄作業により生じた廃滓類が大量に投げ捨てられていました。広範囲にゴロゴロと散らばっており、深さは表土から約1mにも達します。
製鉄関連の遺物です。左上は羽口(炉に空気を送るための送風管)、手前は炉壁(炉の本体部分)、右側と奥が鉄滓(砂鉄から鉄分を取り除いた不純物の塊)です。
製鉄の時代から遡ること数百年、弥生時代の竪穴住居跡です。低地部分で見つかりました。製鉄炉に比べると少し地味かもしれませんが、弥生時代の遺構は県内でも例が少なく、こちらもまた貴重な発見と言えます。
弥生時代の遺物展示コーナーです。手前にある土器は、住居跡の近くに丸ごと埋められていたものです。赤く塗られた珍しい土器なども出土しました(儀式用?)。これらの遺物にいったいどんな願いが込められたのでしょうか
当日の資料は、こちらから。
2016年8月1日掲載
※このホームページは公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが、調査した遺跡の情報を提供しています。 掲載されている情報の無断転載はできません。